記憶
朝だ。
晴れているらしく陽射しが目に痛い。
寒くてなかなか布団から出られそうにない。
どうせ仕事は昼からだし二度寝でもしようか。
だが再び眠りにつこうとした所でインターフォンが鳴った。
居留守をしてみるが一向に訪問客は去ろうとしない。
まるで中に人がいるのが分かっているようだ。
十分経ってまだ鳴り止まないのでしょうがなく着替える。
ゆっくりと行動し更に十分をかけたが意味が無かった。
「誰だよ一体……」
覗き穴から見たところスーツケースを持った男だった。
ひたすらベルのボタンを連打している。
この男、二十分もこんな事をし続けていたのか。
「はーい……どちらさん?」
ドアを開けながらそう言うと男が怒り出した。
「これはインターフォンだろう?受話器を取れよ」
「……はあ……」
「じゃ中に入るよ、お邪魔します」
「……!ちょっと待て……おい」
まるで親しい友人かのように男は中へ勝手に入っていった。
「お前は一体誰なんだよ」
「僕は嘘つき強いて言えばごもくや」
「はぁ?」
「えっとDVDが再生できそうなのは……あれか」
男はスーツケースを開きディスクを取り出す。
開いたのは一瞬だったがその中にやばそうな物が沢山見えた。
「そのディスクには……何が入っているんだ」
「思い出」
そう答えるとDVDデッキにそれを入れ再生させる。
どこかの公園で男の子と女の子が遊んでいる風景。
それを見下ろしたような映像だ。
二人が遊んでいると更に幼い子供が公園に入ってきた。
その子が来た途端男の子が不機嫌になる。
ドクン
嫌な気分だ。
「……あの子供達は?」
……心臓が締め付けられたように痛い。
「君がよく知ってるはずだよ」
「……っ!誰だよっ」
ドクン ドクン ドクン ドクン ドクン ドクン ドクン
頭痛もしてきた。
「君のいとこと妹、それに君自身だよ」
ドクン……
「…………それは嘘だ、俺にはいとこも妹もいないっ!」
頭が割れたようなきがする。
「じゃあ何故そんなに苦しそうな顔をするんだい?」
「っやめろやめろやめろっやめてくれぇっ」
男に掴みかかって必死に叫んだ。
「何故?嘘なんだろう僕の言う事は」
「お願いだ……やめてくれ……」
「この女の子は琴子でことちゃん、小さい子は幸恵」
「ふ……ううっ……」
いつの間にか涙が出ていた。
「幸恵ちゃんを殺したのは君だね?」
「違う……殺したんじゃ……」
「あれ?知ってるの?」
「……知らない」
「そう」
そして男は立ち上がった。
「僕は帰る。あ、琴子は駅前にあるアパートに住んでるよ」
「……」
「会ってみたら?じゃ、DVDはあげるから」
来た時と同じく勝手に出て行った。
ヒュー♪
口笛を吹きながら男は歩いていた。
「んーこれで接触してくれるといいんだけど」
ぶらぶらとスーツケースを揺らす。
「まー接触しなくても琴子が狂ったままなだけだし、別に」
どうでもいっか、と彼は欠伸をした。
2006/11/19