紅い世界に響く声





真っ黒な空に無数の星が広がっている。


その中に小さな赤い薔薇が浮かんでいた。
それは人が――彼女が作った物である。


その薔薇の上にある物という物は干からびていた。
崩れた建物の残骸や赤錆のついた銃器が転がっている。
その他にある物は沢山の赤色の砂のみだった。
突然風が吹き砂が舞い上がって一時前が見えなくなる。
やがて風はおさまり見えるのは紅い砂ばかりになった。

“私”はその乾いた世界を当てもなくさまよっている。

主人である彼女はこの宇宙ステーションに“私”を残した。
彼女は今〈疎〉という戦闘機を追い掛けに行っているはずだ。
ついにアレを壊すことにしたのだろうか。
ならば“私”も連れていってくれれば良かったのに。

彼女は何度か“私”を見知らぬ土地に送る事があった。
何の目的も伝えずに送られる事もしばしばあった。
その時は取りあえず手当たり次第仕事していったものだ。
だがこのような砂だけの星で“私”に何ができるというのだ。


昔砂漠に送られた奴の話を聞いた事がある。
そいつは砂の中から熱を放出する物質を見つけたらしい。
そしてそれを結晶化させて持ち帰ったそうだ。
その結晶はアレの製作にも使われたと聞く。

だが“私”は物質を調べたり物を製造したりなどできない。
“私”には今この砂の世界でできる事が何も無いようなのだ。


あの彼女が“私”をここに残したのだ。
それならば何か仕事があるはずだ。
そう思ってあちこちさまよって探しているのだが……。
やれる事は一向に見つかる様子も見せない。
そもそもここにある物は既に崩壊しきっている。
“私”のできる事はあと仕事が終わった後に歌う歌ぐらいだ。
“私”の仕事でギセイになった物への鎮魂歌らしい。
ただこの歌は彼女が後からつけた機能なので自信がない。



空の一部が強烈な光を発した。

きっと彼女のペンダントだろう。
だったらあれがあの状態になれたはずだ。
それならもう彼女の心配をする必要はない。
あの状態のあれは無敵に限りなく近い。


ああ。
“私”は何の為にここに置いていかれたのだろうか。



“私”がこコニ送らレてから一万と三百五十九日が経過シタ。
“私”はこの時点デホとんど動ケナくなッテイた。

おそラクあノ紅イ砂のせイダろう。
段々ト足の方かラ溶けはジめてきタのダカら。


彼女は本当に何を考エテ私ヲここニ置いてイッたのだロウカ。



言語回路浸食サレる始める。
振動。
シャとル着地。
二人男、機械、出る来ル。
男一方機械投げル捨テる。
“私”方指差ス「勿体ないもらう」言う。
他方「無意味」言う。
「ここゴミ処理場。それゴミ、でキル事ない」。


ゴミ。“私”。ゴミ。


二人シャとル乗る飛ぶ。



“私”歌う始める。

レくいエむ?



壊れる“私”。








2006/07/09