赤と青 3.0
僕は、「セイ達」を見ていた。
ヒコを討とうという、彼らを見ていた。
「そもそも、あいつらがいるから―」
「今こそ、団結の時」
色々な声が聞こえる。
でもそれらは全て、ルーベを憎む声。
・・・ここにいたくなくて、僕は駆け出した。
「またサフェイセスはいないのか?・・・まあいい」
「・・・やはり、来たんだな」
教会の前には、白い神父様と黒いルーベがいた。
「サーフィ・・・こっちへおいで」
僕が近づくと、腕を動かないようにされて、森に背を向かされる。
肩に乗せられたルーベの頭と、ごめん、と小さく謝る声。
ぼくはそれよりも、目の前の光景に竦んでいた。
手に手に武器を持った、青い青い人だかりに。
「動かないでくださいね?このセイの子がどうなっても知りませんよ?」
神父様の言葉に、セイ達は動きを止める。
「私達の要求は、ここから無傷で消えること。
・・・あと、教会もあまりいじってほしくはないですね。
そうすれば、この子は後ほど丁重にお返しいたします」
沈黙という名の執行猶予が過ぎた後。
「ほぅ・・・そんなにも、この子はいらないんですか」
セイに声が突き刺さる。
「・・・サフェイセスに傷をつけたら、承知しないからな・・・」
村長の絞り出すような声が聞こえた。
「了解しました、では・・・」
くるりと踵を返し、僕を連れて歩き出す。
怖くはなかった。
ルーベは僕に謝ってくれたし、彼らが僕を傷つけないことは分かっていたから。
しばらく歩くと、村はずれに着いた。
彼らは誰も来ていないことを確かめて、僕を置いて歩き出そうとする。
「ルーベ・・・どうして、行っちゃうの?」
「泣くなよ、サーフィ。しょうがないんだよ、これは」
ぽんぽん、と頭を撫でられる。
・・・僕、泣いているのか。
落ち着けるかのように、ルーベは口を開いた。
「俺がヒコだということは、セイ達にとって重要なんだ。
追い出す対象として、な。
・・・例え、サーフィが弟だという事実があろうとも」
いや、だからこそ、かな。
青空を眺めながら、ルーベは続ける。
「双子であるからこそ、俺の存在は禁忌なんだ。
・・・なぁ、俺の愛しい弟よ」
「え・・・えっと・・・?」
僕は初めて知ることに混乱している。
そんな思考が出てくるくらいには、動揺している。
・・・僕に構わず、ルーベは僕を見て。
そして、別れになるだろう言葉を告げた。
すごく・・・ずるい、と思う。
「またな、サーフィ。
・・・飢饉の明けた次の年、ヒコが生まれる頃に来る」
そう言って、ルーベは歩き出す。
二、三歩行って、思い出したかのように振り向く。
「ああ、忘れてた」
そして投げられた銀色の束。
「それ、教会と図書館の鍵。サーフィの好きなように使うといい」
「・・・ありがとう。大切にする」
ルーベは右手を挙げて答えると、今度こそ向こうへと歩き出した。
神父様を従えて。
僕は、その後の飢饉を知らなかった。
それでも、ルーベが戻ってくるのを待とうと・・・
もうすぐ彼の色に染まる空にと誓った。
あとがき。
やっとここまで辿り着いた・・・
薔薇ほどは痛くないけど、やはり強迫観念があるらしく。
あと・・・エピローグと・・・3.5・・・もとい外伝。
サーフィが泣いてルーベが慰めるシーンが、この話の始まりのひとつ。
もうひとつはあれだよ、人種差別。
・・・にしても、最後に明かすあたり、意地悪としか言いようがない。
2006/11/18
2006/12/03