Drug Addict





雑然とした部屋。
壁側に今にも崩れそうな山が積み上がっている。
部屋に二つある本棚にも収まり切らない、本の山。
――僕のお城は、そんな空間。

その片隅にあるベッドの上で、本を読んでいた。



鞄から出した何冊かの本が散らばっているのも気にせず、
一心不乱に読みふける。
楽しそうな顔など、どこにもない。
重い主題を身に感じる。
時折叫んでは突っ伏し、時折虚空を睨む。
それでも、頁を繰る手は止まらない。

――そう、何かにとりつかれたかのように。



何時間も過ぎ、日付が変わろうとした頃、
散らばっている本の大半は読み終わっていた。
残る本を手に取ろうとして、そのまま倒れる。

――辛い。苦しい。痛い。
肩で荒い呼吸をしながら本を眺めやる。
――これ以上読んだら、壊れてしまう。
そう、言われている気がしてならない。
僕の眼には今、疲労しか浮かんでいないだろう。
さすがにそれは理解できる。

ふらふらと歩いて、パソコンの前に座る。
画面に浮かんでくる言葉。
僕が「打っている」感覚などなく、激情の羅列が並ぶ。
それを、見ていた。



『怖い、怖い、怖い…
 この本に、話に、引きずり込まれる。
 あまりにも痛くて、辛くて、苦しくて、戻ってこれない。
 ここは何処現実って何。
 僕は誰、誰か助けて…』



パニックに陥りかけた自分を制する。
そして、僕を戻そうとして、言葉を紡ぐ。

「思い出せ、僕の名前を。僕は、幽霊。
 …僕は僕以外のなにものでもないんだ」

心が落ち着いていくのを感じる。
燃え広がった炎が、鎮まっていく。

僕には分かる。これがひとときのものであることを。
僕には分かる。心にはまだ火種が残っていることを。

…僕には、分かってしまう。
このままでは、僕が壊れてしまうことが。

僕は、弱々しく微笑んだ。
壊れることが分かっていても、とめられない。
だってまだ、ここには本があるから。
それが原因であろうと、読み終わるまでは、とまらない。

――さながらそれは、Drug Addict.――



時計の音が聞こえる。
…崩壊への、カウントダウンが。










あとがき。
8冊。…量ではなく、内容が重かった。
昨日のことを、ほぼそのまま入れてみました。
…この思い出を、飛ばすために。

読んでいる最中に、目覚まし時計のアラームが聞こえました。
…でも、家で鳴っているものはありませんでした。
隣の音だと、いいな…

Drug Addict.青い薔薇を書いているときのようだな、と。

2006/10/03











2006/11/19