blue rose : encore
薔薇ができたきっかけ。薔薇がこの性質を持った理由。
最初から最後まで、全てお見せしましょう。
・・・この、私の誇りにかけて。
これは、まだ青い薔薇がいなかった時の話。
世界の中で、薔薇が覚えている唯一の記憶。
壊れた世界の深淵。
青い薔薇の原動力。
その一欠片が、はらりと落ちた。
青い薔薇の開発には、莫大な時間がかかった。
少女の親は、その研究者の一人。
少女は、親や周りの人に構われる事なく放っておかれていた。
周りにあるのは、大量の薔薇。
それが、少女の持っていた全てのもの。
薔薇に囲われて起き、
薔薇に囲われて一日を過ごし、
薔薇に囲われて眠った。
「・・・つまんない」
やることがなく、床に寝そべって、
天井を見ることもなしに見て、少女は呟いた。
しばらくして、何を思ったか起き上がり、薔薇を見つめる。
「・・・私は、お友達が欲しいの。・・・なって、くれるかな・・・?」
哀しそうな声は、天井へと吸い込まれて消えていった。
薔薇は人間が嫌いだった。
自分を弄ぶ存在であったから。
けれど、少女のことだけは好きだった。
弄ばれることもないし、いつも哀しそうな少女。
そばにいてあげたい、そんな気持ちになる。
だから、少女の願いだけは叶えよう、そう思う。
けれど薔薇は何もできなかった。
薔薇は憎んだ、何もできない自分を。
そして、少女を蔑ろにした全てを。
やがて、青い薔薇が生まれた。
この世界を滅ぼす機能を備えて。
ふと、薔薇は気づく。
これでは少女の友達なんてできっこないと。
でも、もう止まらない。
薔薇は世界への復讐を果たすため、ただ動く。
世界を滅ぼし、宇宙を滅ぼし、
薔薇は一杯に広がり・・・活動を、止めた。
全てを滅ぼしたというのに、心が晴れない。
それは、少女の願いを叶えられなかったから・・・?
いや、違う。
薔薇はただ、思考を紡いでいく。
考えて考えて考え抜いて、やっと答えを見つけたとき・・・
薔薇は、微笑った。
・・・ああ、そうか。そんな単純なことだったのか。
薔薇は、薔薇自身も憎んでいた。
結局、何もできなかったのだから・・・
自身をも滅ぼさないことには・・・
納得できるはずが、ないだろう。
そして、世界も宇宙も何もない、
空間だけが後には残った。
全ての終わり、無為式の展開の図。
意味を成さない薔薇の物語。
それはただ、哀しさだけを宿していた。
全てを詠われた後、薔薇は既にない。
それでも、これは私の義務だったのだから。
あとがき。
rhapsody 2ページ書いたのを放り出して書きました。
blue rose 番外編。半分ぐらい薔薇視点。
・・・もう薔薇って漢字書けるようになりましたよ、ええ。
契機から終焉まで。
本来はなかったのですが、帰り道にふと浮かんできた物語。
これも、贈り物だと思いたい。
たとえ頭痛の元だったとしても。
2006/06/07
2006/11/05