blue rose : fantasy

これは幻だ、言い切ることができればどんなに楽か。
でも青い薔薇も世界も演奏者も曲自体も、止まることはない。
そしてこれが、幻ではないと突きつける。


まあ、翔は飛び降りて生き返って。
正確に言うと少々違うらしいがそれはさておき。

仕事はさらに忙しくなり、俺の思考回路から感情は消え去る。
ただ、能率的に仕事をこなす。
このようなことをしても根本的解決には至らないのでは、とか、
人の死の手助けをするなんて嫌だ、とか、
部隊員が増えるほど侵蝕速度が増している気がする、とか。
そんなことを疑問に感じる時間も、疑問を口に出す暇も、今の俺には残されていなかった。

生命の輪に何も感じず。せいめい の リング
狂気と、青い薔薇と同じ舞台に立ち。
くるくると回り、舞い、踊る。
そんな俺らは、喩えるならば操り人形。操られた マリオネット

死んだ後で、俺は知らされた。

眼鏡を掛けた研究員は小難しい言葉を並べる。
「・・・種の許容量が・・・超えて・・・このままでは・・・影響が・・・然るに・・・」
俺が理解していないのを察して、研究員は口を閉じる。

そして、久しぶりな言葉を聞く。
「つまり、死んでくださいということです」
・・・ああ、そう来るか。

研究員も、上層部も、そのころには皆・・・

俺が来たのは船着場。
そこには、翔もいた。
「ああ、翔もか?」
「慧もなんだ?」
交わす言葉でお互いの思考を確認する。

結局、俺も含め十人ほどが潜水艦に押し込まれた。
・・・もちろん、「潜る」ことではなく「沈む」ことを目的としている。ふろむ「海の底」。
名前をつけるのなら、「死への旅」ってところか。
・・・虚しくなったからこの言葉を頭から追いやる。

薔薇に侵蝕されていたことを。

ご丁寧なことに、一回分の豪華な食材があった。
・・・最後の晩餐、ってことか?
それ以前に料理しろ、というのか?
「おい、料理できる奴いるか?」
誰も手を挙げない。

・・・しょうがないから俺が作ることにする。
自分自身に毒盛るのは、本当は嫌だけどしょうがないか・・・
出来る範囲でざっと作る。
そして最後に隠し味で棚の小瓶の中身を入れることも忘れない。

皆、おいしそうに料理を食べる。
見た感じ、翔だけは何か感づいたようだが、
俺が全部食べて微笑むと、同じように食べてくれた。
うん、作った俺も笑顔になるような賛辞をどうもありがとう。
そして、各々部屋に戻っていく。

翔も戻ろうとするのを、手招きして呼ぶ。
「翔・・・大当たり」
「あ、やっぱり?」
「だって、苦しみたくないじゃん」
まあ確かに、と呟いて翔は黙る。

「・・・翔」
改めて呼ばれたことに首を傾げる彼。
「今までありがとう、感謝してるよ」
「こちらこそ、慧を仲間に出来て嬉しかった」
二人で笑いあう。

「じゃあ、おやすみ・・・また、逢える時まで」
そういう翔にあることを頼んでみる。
彼は快諾してくれた。



だから、
僕たちの始まりのように、
しっかりと握手を交わして、

これは幻ではないんだ、と、
そう思い込もうとした。










あとがき。
わーい本日三作目・・・(苦笑)
なんか・・・疲れた・・・
あと終章だけだから明日にでも終わるだろう、と。
やっと頭痛の要因がなくなると思うと嬉しいです。

2006/06/07











2006/09/24