ふえるろお
『神様』
「かみさま」
どうしました?気付きましたね。
「ここはどこ?」
ここは何処でもないのですよ。貴方が生まれた天地は、ここにはありません。
「どうなったの?」
貴方はあの天地から消えたのです。私の力によって。
『神様』
「かみさま」
なんですか?
「どうして?」
どうして、とはどういう意味ですか?
「どうしていっぱいいじわるしたの?」
貴方は生け贄だったのです。あまたの存在が救われるための。
「どうしていけにえなんかひつようなの?」
皆が救われたいと思うためですよ。
貴方を恐れ忌まなければ救われたいなどとは思わないのですから。
「なかまはずれ?」
寂しかったですか?
「さびしかった。ずっとずっとさびしかった。
ひかりはみんなにすかれてたのに、じぶんはひとりぼっちだったから」
すみません。
『神様』
「かみさまがあやまることじゃないよ。じぶんがきらわれものなの、しってるから」
嫌われ者だと、ずっと思っていたのですね。
「だって、きらわれてた。かみさまも、そうおもってたでしょ」
そうではない、そうではないのです。
「ちがうの?」
私は神と呼ばれるものです。私は導くものでなくてはなりません。
私には『敵』を創ることはできないのです。
だから私の披造物でない貴方を使うことにしたのです。
「いじめるためのものに?」
そうです。今となっては謝ることしか出来ません。貴方の心を考えていなかった。
『神様』
「かみさま」
貴方を嫌っていたのではない、むしろ私が忌まれるべき身です。
「じゃまものじゃないの?」
貴方は、誰よりも私の存在の支えになってくれたのですよ。
『神様』
「かみさま、ほんとう?」
はい、誓って。
『神様』
「かみさま、うれしい。ありがとう」
さあ、もうおやすみなさい。現世の疲れを癒すために。
「うん」
『神様』
『神様』
『もう、偽るのはやめて下さい。私は幾度も世界を繰り返し、
その度に貴方の心にもない謝罪を聞くのにはもう、疲れたのです』
『嫌いだと。お前はただの道具だと。そう仰せあられて下さい』
『神様』
『どうして、絶望を与えて下さらないのですか?』
『神様…』
2006/10/08