てねぶらえ





それは悲しい願いにまとわりついた邪な欲望をふりかざし、
救われるはずだった存在たちを陥れる悪しきものたちを守り導いた。
元より隠すものたるそれにとって、それは驚く程に容易だった。

神の目すらもくらませ惑わせ、それは悪しきものたちの象徴たることを誇りに感じさえした。

神が愛する生きとし生けるものたちを苦しめても、神の憎しみを買うだけだ。
そうわかっているのにそれは邪悪な行いをやめることをしなかった。
そうすること以外に神に自らの心を伝える方法を、言葉を知らないそれは思いつかなかったからだ。
寧ろ憎しまれることで神の心の片隅でも占めることが出来れば、それは充分満足した。

そうしてそれは穢れを抱え溜め込んでいった。
そのせいでそれはだんだんと、自分が邪悪なものでしかないと思う様になっていった。

ただ悲しかっただけのはずなのに、ついには全てを憎む様になってしまった。
神を憎み、生きとし生けるものたちを憎み、明かすものを憎み、世界すら憎んだ。

それを生きるものたちも感じたのだろうか、今までよりも更にそれを恐れ忌み嫌い、
それの心を真似るかのように彼らもそれを憎んだ。

特に憎悪を顕著にしめしたのは神が自らに似せて創ったものたちだった。
明かすものを呼び出す方法を見い出し、
すでに世界の半分にまで縮められていたそれの領域にまで明かすものを持ち込んだ。

それは悲しみを思い出すことが出来ないまま、みるみる力を失っていった。
明かすものと手を組んだ彼らにとって、
それは既に恐るるにも足らないものに成り下がってしまったのだ。




「どうして皆こんなにも」
「…いや、苦しめているのはこちら。彼等がこちらを憎む以上に彼等を苦しめてやればいい」



「淋しい…」





弱々しくなってなお偽りの憎悪に身を焦がし続けていたそれを神の力が引き裂き
世界が浄化される時は、それにとっては余りにあっさりと訪れた。



「かみさま…」

「さみしいよ…」




こうして闇は、世界から消えた。










…キリスト教の方とユダヤ教の方…ごめんなさい。











2006/09/24