そんなもの





きらきらしてるからって見惚れてると大変なことになる。



虹色でぼんやりしてて固くって透けていて。
もしかして、宝石だとでも思ってる?






触っちゃいけない、手を引いて。見るだけでも危ないのに触るだなんて。
でも綺麗だろう。光にかざすともっと綺麗。



何で触れるかって?それはよく知らない。けれど触って心を亡くした奴もいるから、危ない。



あまり見つめちゃいけないけれど、ちょっとご覧。
暗い所の方が、映えて見える。






何だかわかる?わからないか。
わかった奴は、みんな壊れてしまう。



まだ生きてるんだ、これ。
こんな欠片にされても、時々もがく。
分かるように暴れたりもするけど、そうじゃない時が多い。
見てみたい?
ぱっと放すだけでいい。ほら。
わかった?見えなくても感じたはず。



触らない方が良さそうだろう。少なくとも今は駄目だ。これが落ち着いてないから。



まだ生きてるって言ったけど、殺すのは簡単だ。
これは水がないとすぐに死ぬから。
乾いた所にずっと閉じ込めたり火を放ってやればあっさり死ぬ。



なぜ殺さないかって?
可哀想だから。
嘘だよ。死ねばこれは真っ白になって脆くなって綺麗じゃなくなってしまうから。
まあ、死ねば誰が触れても安全になるけれど。






これが何かって?
わかったら壊れてしまうって言ったろう。
けれど何にせよ生き物の欠片には違いない。
何の欠片だかは知らない。






そもそも、もっと始めに聞くべきだったんだろうけど、これが見えるのかい。
別に特別な奴しか見えない訳じゃない。ただ誰も気にしない。意識に引っ掛からない。






何をそんなにじっと見る?
宝石ごときじゃないと言ったのに。
魅入られる前に目をそらして。



確かに覗き込めば七色の川や海も見える。
でもそれに引き込まれて帰れなくなる奴ばかり。
もちろん行ったことはない。行ったら帰れなくなるのだから。






そんなに欲しい?
こんな危険なものを?
死のうが壊れようが責任はとれない。
それでも?
どうして。
まあいいか。手を出して。






あーあ。
言ったのに。



まあいいか。
あいつらみんなこんなものだし。






何も感じないけど、そんなものだ。








2006/07/23